中学一年生の、まだあどけない顔の少年が、不良グループによって殺害されたとされる今回の事件。
こんなことがあっていいのかと、何故そんな悲惨な事件が起きたのか、救済出来なかっのかと、大人たちは口を揃えて言う。
僕もまったく同感である。
しかし、弱い者に襲いかかるその手のイジメは、今に始まったことではない。
さすがに、殺人までには至らなかったが、僕が中学生の頃にも日常茶飯事に、いじめはあった。
岡山で生まれ育った僕は、親の仕事の都合で、小学四年生で鹿児島県鹿屋市に引っ越し、五年生になって宮崎に引っ越すことになった。
保守的な地域性なのか、それとも、目立つものに対しての敵対心なのかよくわからないのだけども、宮崎に越してきて、いきなり、イジメの日々が始まった。
五年生で転校してきたばかり。
休み時間、教室でいきなり同級生に囲まれ殴られた。
集団心理が働くのだろう。誰かが手を出せば、その次に我も我もと続いて殴りかかってくる。
姉貴の影響もあり、五年生から柔道の道場に通うようになった。
中学から、空手も始めた。
空手の先生から、喧嘩に使わないと約束すれば教えてやると言われた。
入門の条件だった。
中学に進学したら、イジメは更に激しくなり、エスカレートする一方だった。
授業が始まっても、教室で数人から殴られ、後ろ半分くらいの机や椅子がひっくり返っても、それでも殴られ続けた。
最初は、先生は見て見ぬ振りで、何も注意することなく授業を続けた。
さすがに先生も我慢出来なくなったのか、静かにしろ!
と怒った。
しかし、今度は、ベランダに引っ張り出され、そこで、ボコボコにされた。
何もなかったかのごとく授業は続けられていた。
柔道、空手をやってるということも、連中には、気に食わなかったのかも知れない。
自分の方か上なんだということに心が満たされる修羅界の世界だ。
いつも殴られっぱなしだった。
リンチも受けたこともある。
とにかく、ワルの掃き溜めみたいな学校だった。
もちろん、みんながみんなそうだったわけではないのだが。
思うに、今から45年も前の話だ。
悪質なイジメは昨日今日始まったことではない。
昔からあった。
何とかしたいのだけど、
でも、誰にも言えなかった。
誰かに言えば、仕返しをされるのが正直怖かった。
めんどくさかった。
多感な時期である。
その中で、一番のワルだった奴は、ある日突然学校から姿を消した。
あとで聞いた話だが、放火をして捕まったらしい。
内心、ホッとした。
まだまだ、この後も、いろんなことがあったが、
今はただ、上村君の死がいたたまれてしょうがない。
二度とこういう事件が起きないことを、同じイジメを経験した者として、切に願う。
隆志
↧
上村遼太君殺害事件に思う。
↧